オリジナルCGの部屋

初出 電撃王99/3月号
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電撃王用に書き下ろした短編イラスト漫画です。

大野さんの好きな昔話系ですね。オリジナルはカラーです。
この白黒バージョンは同人誌用に再構成されています。

備考 電撃王99/3月号にカラーにて掲載
「To天使catにょ」に白黒バージョン掲載
「からふる・ぼいす」にカラー音声付きで収録
HP掲載 98/10/20


「星の銀貨」
これは昔、まだ願い事が叶っていた頃のお話です。


そこにひとりのメイドロボが
トボトボと歩いていました。
どうやら御主人様に捨てられてしまったようです。
「あうー人間になりたいのー
そうすればぁこんな寂しい思いをしなくてすんだのー」
そんな事を思いながら歩いていると、
ひとりの貧しい男と出会いました。
「寒い寒い。どうか私にあなたの服を恵んでおくれ」
優しい彼女は、自分の服を脱いで
その男に恵んであげました。


しばらく歩くと、また別の男と会いました。
「痛い痛い足が痛い。
どうか私にあなたの靴を恵んでおくれ」
とまあ、何やかんやあって、とうとう彼女は
生まれたままの姿になってしまいました。
そこへまた、貧しい男が現れ言いました。
「お願いです、どうか私にも何か恵んでくれませんか」


「困ったなのー。もう何もあげられる物はぁ……、そうなの」
そう言うと彼女は自分の左腕を取り、差し出しました。
「これを売ればいくらかのお金になるの。それで何かぁ……」
こうして彼女は右腕、左脚……と次々に恵んでいきました。
もはや彼女は、身動きひとつできなくなっていました。
そこへまた貧しい男が現れました。
「困ったのー、もう本当に何もぉ……、
そうなの、私の胸を開いて動力炉を持っていくの。それでぇ……」
電力の供給を絶たれたメモリィが、次々と消えていきます。
薄れ行く意識の中、
見上げた夜空は、
星が銀貨のように
キラキラと輝いていました。


すると突然、
空から一条の光が差し、彼女を包みました。
気がついてみると、無くなったはずの手足が元に戻っていました。
それだけではなく、なんと彼女は人間になっていました。
「神様……、ありがとうございますのー」
そうです。神様が彼女を人間にしてくれたのです。


しばらくすると、
彼女からいろいろな物を
恵んでもらった人々が集まってきました。
女物の服を着た男や、
女の手足を抱えている男など、
ハタから見るとかなり異様な集団でしたが、
まあ、別にそんな事はどうでもいいです。
彼らは口々に言いました。
「女だ、女がいる」
「いや、あれはさっきのメイドロボットだ」
「でも人間だ」
「きっと神様が人間にしてくれたんだ」
「いやあ、良かった良かった」
「でも大変だ、
人間ならあんな姿じゃ寒かろう」
「そう大変だ、人間ならばお腹も空くだろう」
「よし、みんなでお礼をしよう」
「みんなで体を温めてあげよう」
「みんなで栄養のある飲み物を
飲ませてあげよう」
「ああああ〜ん」
彼女に次々に降りかかる
白い液体は、月の光に反射
してキラキラと輝き、
まるで空から銀貨が降って
くるように見えるのでした。


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